スティーヴィー・レイ・ヴォーンの名盤

「ライヴ・アット・モントルー1982&1985」

伝説の天才ギタリスト、スティーヴィー・レイ・ヴォーンとスティーヴィー・レイ・ヴォーンのバンド、ダブル・トラブルの名演が聴ける「ライヴ・アット・モントルー1982&1985」。

感動のライヴCD2枚組
早すぎた死、今も惜しむ声が…

35歳の若さで夭折(ようせつ)した米国の天才的なブルーズ・ロック・ギタリスト、スティーヴィー・レイ・ヴォーンが1982年と1985年にスイス・モントルーのジャズ・フェスティバルに出演した際のライヴ音源です。CD2枚組。レイ・ヴォーンがスターになるきっかけとなった1982年、そして絶頂期の1985年の演奏を収録していますが、いずれも見事な名演でロック・ファン必聴の傑作です。

B・B・キングらをコピー

レイ・ヴォーンは1954年10月3日、米テキサス州ダラス生まれ。プロのギタリストだった兄、ジミーの影響でギター演奏を始め、B・B・キングら伝説的な黒人ブルーズ・ギタリストの演奏をコピーしながら腕を磨き、14歳の時から地元ダラスのブルーズ・クラブに出演、人気を集めました。

ジェリー・ウェクスラーがサポート
R&Bの父

そんなレイ・ヴォーンのバンドの演奏をテキサス州オースティンでたまたま聴き、いたく気に入ったアトランティック・レコードの重役プロデューサーで、「R&B(リズム&ブルース)のゴッド・ファーザー」とも呼ばれるジェリー・ウェクスラーが1982年のスイス・モントルーのジャズ・フェスの「ブルーズ・ナイト」にレイ・ヴォーンらが出演できるよう根回ししました。

リード・ヴォーカルも担当

CD1枚目にはそこで披露した8曲を収録。ギターだけでなく自らリード・ヴォーカルも担当し、爆発するようなエネルギーと粗削りながらも才能にあふれる素晴らしい演奏を披露していますが、観客はカウボーイ姿の無名の白人プレイヤーに嫌悪感を抱き、ブーイングの嵐が起こりました。

デヴィッド・ボウイ『レッツ・ダンス』に参加

しかし、観客のひとりだったデヴィッド・ボウイはレイ・ヴォーンの才能を見抜き、すぐさま楽屋に駆けつけて、落ち込むレイ・ヴォーンにデヴィッド・ボウイの新作への参加を要請。その新作『レッツ・ダンス』(1983年)は全英1位、全米4位のメガ・ヒットを記録し、タイトル曲での火を噴くようなギター・ソロは本作のハイライトとなりました。

ジョン・ハモンドの目にとまる
ボブ・ディランやアレサ・フランクリン、ビリー・ジョエルらを発掘

その演奏に今度はCBS/コロンビアの伝説的なスカウトマンで、ボブ・ディランやアレサ・フランクリン、ビリー・ジョエルらを発掘した故・ジョン・ハモンドが目を付け、レイ・ヴォーンはエピック・レコードから「テキサス・フラッド」(1983年)でデビュー、超人気スターとなりました。CD22枚目は人気絶頂の1985年のスイス・モントルーのジャズ・フェス出演時の11曲。文句の付けようのない演奏です。

北米ツアー中の1990年に逝去

その後も1989年までに4枚のアルバムを発売しますが、北米ツアー中の1990年8月27日、レイ・ヴォーンを乗せたヘリコプターがウィスコンシン州で墜落。レイ・ヴォーンは帰らぬ人となりました。

ドラマのようなサクセス・ストーリーを歩んだレイ・ヴォーンですが、本作を聴くとその才能が惜しまれてなりません・・・。